フィンセント・ファン・ゴッホは、友人や親戚に会うため頻繁にユトレヒトを訪 ねていました。中でもよく顔を合わせていたのがユトレヒトにアトリエを構えて いた芸術家アントン・ファン・ラッパルトでした。1877年に弟テオあてに書い た手紙の中でファン・ゴッホは次のように書いています。「ユトレヒトにはドム 教会の他にも古い教会や、(ロンドンの)ウェストミンスター寺院にすごくよく 似ている大学の建物がある。」そしてファン・ラッパルトあての手紙の中でも「ユ トレヒトにはもちろん素敵な中庭や小道もある。」と取り上げている。当時の彼 は、その後ファン・ラッパルトや自分の作品がユトレヒトの美術館、このセント ラル・ミュージアムに収蔵されることになろうとは夢にも思わなかったことで しょう。オランダの最も古い市立美術館である当館は美しい中庭を取り囲むよう に建てられていて、絵画・彫刻などの美術作品からユトレヒトの歴史的資料、デ ザイン、ファッションを含む豊富なコレクションを観覧できます。幅広い作品を 含むバールン・コレクションには《下草》、《石の器に入った梨の静物》などの フィンセント・ファン・ゴッホの絵画や版画もあり、館内で定期的に展示されて います。これらの作品は2023年後半にオープンする新収蔵品展でもご覧いただ ...